日日のきれはし。

カテゴリ:みたもの。( 20 )




長い長い雑感@『見狼記』。

GW終わりの日曜日に、NHKのETV特集で『見狼記〜神獣 ニホンオオカミ』というのがやってたので観てた。秩父地方が狼信仰の中心であったというのは初めて知った。畑を荒らす鹿や猪を補食するニホンオオカミは、神様の使い(御眷属)として人々に畏敬されていた。秩父には狼を祀る神社が21社もあるらしい。
印象的だったのは、その神社の1つである釜山神社の宮司が行っている「お炊き上げ」という狼にご飯をお供えする神事。八十歳近い宮司が、月に一度、山頂にある奥の院へご飯が一升入ったお櫃を背負って登っていく。祝詞を上げ、ご飯をお供えする姿は誰にも見られてはならないのだそうだ。また、秩父では住民がオオカミ講を組んで回り持ちで「お炊き上げ」を行っている地区もあり、やはり家の主が真夜中に祠へご飯を供えに行く。もう時代に合わないので止めようかという話も出るが、「止めた後が恐い」ので続けているのだという。肉食獣の狼にご飯供えてどーすんねんというツッコミもないではないが、ご飯は狼の餌ではなく、狼を遣わす神様、または神格化した狼(大口真神)に対する神饌なのだ。

衰えつつある体をおして宮司が月一回山を登るのも、止めた後が恐いという理由でオオカミ講が続いているのも、信仰の根強さを示しているように思う。狼を通して人々が感じ、敬い、畏れるものとは、やはり自然そのものだろう。
とはいえ、自然とは祈りが通じる相手ではない。それでも祈ること、自然への敬意や畏れを示す行動が、自然の運行のどこかに組み込まれていると信じることで、そこに意味を見いだすことはできるのかな、とは思う。ちょっとカオス理論ぽい?違うか(笑)

他にも狼の頭骨信仰とか興味深い話もいろいろ出てきたが、これらの話と平行して語られるのは、絶滅したはずのニホンオオカミを1996年に秩父山中で目撃した八木さんという人の話。現在も彼はニホンオオカミを探し続け、山のあちこちに赤外線カメラを仕掛けたり山に分け入っては狼の遠吠えをしたり、ちょっと常軌を逸してるかもしれない。
常軌を逸してるといえば、絶滅したニホンオオカミを復活させようとした人がいたんだそうだ。奈良で教師をしてた人だったらしいが、熊野の山中には狼の血を引く野犬がたくさんいたので、それを捕まえてきて交配に交配を重ねて限りなく狼に近づけようとした。交配は約30年続けられ、狼に近い性質を持った個体を戻りオオカミと呼んだ。
ところで、ニホンオオカミと犬の区別はすごく難しいらしく、外見ではまず無理らしい。ニホンオオカミには頭蓋骨に特有の凹みがあるので、それを確認しない以上、厳密にはニホンオオカミとは呼べないのだそうだ。ってことは、ニホンオオカミが生きているとしても、生きているうちはそう呼ぶことはできない。それでも存在しているといえるのかどうか…
むずい。

番組を見ながら、人をある行動に駆り立てる理由として、現実にいるのかいないのか、合理的か否か、ってのはそれほど重要じゃないのかもしれない、と思った。息を切らしながら山を登る宮司の姿を見ながら、タルコフスキーの『ノスタルジア』で主人公が火を運ぶシーンがふいに思い浮かんだ。
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by kuukazoo | 2012-05-12 19:51 | みたもの。

何者。

通勤の電車の窓から、震災のあった日の夜、歩いて渡った橋が見える。

まぁあの時はよく歩いたと思ったが、実際、距離は25kmくらいしかないのである。…マラソンの代表クラスの選手って一体何者!?。2時間台で40km余を走るなんて、どういう身体してんだか。なんて、今更言うまでもない…

昨晩はテレビで『トータル・リコール』を観た。ディックの短編『追憶売ります』が原作なんだけど、中身はハリウッド製ちょいグロテスクなB級SF映画だった。主演がシュワルツェネッガーなので、結局馬鹿力で全てをひっくり返す(笑)。それでもそれはそれで楽しめた。ディックには何かB級テイストが似合う気がする。
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by kuukazoo | 2011-04-05 00:52 | みたもの。

Reigan Island。

隅田川、日本橋川、亀島川に囲まれた霊岸島は、元々隅田川の中洲を1624年(寛永元年)に埋め立てて作った人工の島。地名の由来はかつてそこに建立された霊厳寺によるものという。
ちなみに霊岸島とは現在の中央区新川のことであり、あの故佐藤洋一氏のgallery≠galleryもかつてこの島に存在した。そこでインプロパフォーマンスをやらせてもらったのはもう4年も前のことになる。それ以来霊岸島には足を踏み入れてない。

ということを思い出したのは、加藤チャーリー千晴さんの企画「In the Mists」を観に行った七針というスペースが同じ霊岸島だったから。偶然にもついこないだSYプロジェクトで踊ったばかり。でも「In the Mists」が武蔵小金井から霊岸島に引っ越してこなかったらずっと行かずに忘れたままだっただろう。うーん。とりあえず主催者のチャーリーさんには感謝かな。

もちろん、「In the Mists」の内容もとても楽しめた。ピアノソロはとても迫力あってやはりチャーリーさんはピアノの人だと思ったし、若尾伊佐子さんのダンスとのコラボも良かった。七針もいい空間だし、また足を運べればと思う。霊岸島巡りもしてみたいし。
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by kuukazoo | 2011-01-29 00:28 | みたもの。

「ひび」。

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昨日、会社の昼休みにマイミクの胡舟ヒフミちゃんの個展「ひび」にお邪魔しました。
歩いて5分足らずとすぐ近くの新しいギャラリー。写真と詩の展示を見せていただいて、お茶をご馳走になりながらまったり昼休み。
色とりどりのリボンで壁に吊された写真や言葉を見ていくのは、いくつかの断章から成る物語を読んでいるような感じで面白かったです。風景というものはその人を形づくるものだねと最近ある人とお話ししたのですが、まさに。誰の周りにもある日常の風景が彼女を通して反射される時、見ているわたしもそれを特別なものとして映している…って、ダンスにも言えることかも。

ひびは日々であり罅。
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by kuukazoo | 2009-06-26 09:49 | みたもの。

桜のせい。

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先週末は花見どころじゃなかったので、昨日会社帰りに浜離宮庭園に寄りました。近いのです。歩いて10分足らず。休み明けなのでもっと静かと思っていたら、意外に国籍様々な老若男女の方々でそこそこ賑やかな感じでした。休日とかはもっと人が多いのかなあ。けど、そんなに桜が多いわけじゃないから、花見が目的の人は違うとこに行くのかも。わたしはあまり桜が多いと目眩がしてしまうので、このくらいが落ち着いて散策するにはちょうどいい感じです。どこを見ても桜と人しかない!ってのはちょっと疲れる。

しかしつくづく桜って本当に過剰な花。梢の先までみっしり花花花。
樹一本につきいったいどれだけの花が咲いているのか。どこをどうしたらこんなに花を噴き出させることができるのか。考えると恐くなる。死体だとしても一つぐらいじゃ済まないんじゃないか。人の生気もかなり奪ってそうだ。
おー、だから最近眠くてたまらないのね(桜のせいにしてどーする)。
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by kuukazoo | 2009-04-07 12:57 | みたもの。

昼でも夜会。

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午前中~昼過ぎまで稽古して、その後「やっかいな夜会vol.3」@銀座・プラットフォームギャラリーへ。このイベントに関わっている古くからのダンスつながりの友人に誘われたのだけど、マイミクのヒフミさんが朗読で参加してたり「透視的情動」で知ったパフォーマンスアーティストの山岡佐紀子さんもメンバーにいらっしゃったりして、意外なつながりに驚き。

朗読や展示、参加型パフォーマンスなどのほか、谷川まりさん作の天然酵母パンを味わい(とても美味しかったです)、「やっかい」について話したり聞いたりなど、こじんまりしたイベントと思って来たらかなり盛り沢山で来場者も多く、なかなか楽しい時間でした。都合で途中で帰らなくてはならず、最後まで見届けられなかったのが残念。しかしまさか銀座の有名ブランド店の前や交差点で寝るなんて、予想だにせず(笑)。山岡さんのパフォーマンスでした。
今日の夜会(昼間だったけど)にて出会った皆さまに感謝。楽しい時間をありがとうございました。意外なつながりでまたどこかでお目にかかれると嬉しいです。
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by kuukazoo | 2009-03-09 00:11 | みたもの。

影の時間。

四畳半くらいの展示室。一角に金属製の鳥籠とガラスを嵌めたフレーム。プロジェクター。白い壁に映されるのは、鳥籠とフレームの影、雪のように降り続く無数の羽毛の影、の映像。
空の鳥籠。
窓枠に切りとられた空からひたすら降り続く、降り積もることのない鳥の羽毛。
ここにあるのはその影ばかり。何一つ実体はない。
空はないのに空の気配がし、鳥はいないのに鳥の気配がし、滅亡はないのに滅亡の気配がする。
ひたすら続く静かな時間。人の話し声はもとより、不用意にたてる物音さえ邪魔で邪魔で仕方がない。
そんな空間が成立していたことが何だか驚きだった。
展示室を出て、通りを歩きながら、人間とはなんて騒がしくうるさいのかと思った。
生きていることはそういうことだ。
川端康成の短編だったか、自分の妻と子にいっさいの音をたてることを禁じた男の話があった。
だから食べることも歩くことも動くことも、ついには心臓を動かすこともできなくなって、みんな死んでしまった。
その話を思い出した。
沈黙や静寂は、聞こえない音を聞くためにあるのかもしれないとも思った。

田口賢治展 空間彫刻[記憶の彷徨op.2]迷妄する鳥/記憶の彷徨
2008.12.8ー13 巷房2・階段下(銀座1−9−8 奥野ビルB1)
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by kuukazoo | 2008-12-12 02:43 | みたもの。

できたことと行けたとこ。

中2女子がテスト期間中→朝練がない→母は早起きしなくていい→特に土日→いつもより2時間遅く起床→家事が昼近くまでずれこむ→午後の予定がきつきつになる、という関係で、できなかったことや行けなかったとこ、逆にできたことや行けたとこがありました、十一月末。

できたこと:換気扇の掃除。
外側やフィルターはできれば2週おきくらいに洗った方が汚れの付きも少なく、簡単に洗うだけで済む、ということはわかっているのだが、忙しいと結局1ヶ月くらい放置してしまう。そうすると強い洗剤を使ってもやっぱり時間がかかる。いつも夜に食器を洗った後やろうと思っているけど、11月は本番もあって、とてもそれどころではなかった。本番が終わってもなぜか夜は疲れることが多くて使いものにならず、じゃあ昼間にやればいいのだということで、ミッションは無事実行された。けど、それは最初に書いたような理由でたまたまそういう時間ができてしまったからなので、初めからそれをやろうと思ってたわけじゃない。幸いであった(ということにしておこう)。

行ったとこ:ヴィルヘルム・ハンマースホイ展@国立西洋美術館。
日曜日なので朝一番で行こうと思ってたのに寝坊した。迷ったけど閉館に近い時間なら多少混みも違うかもと思い4時過ぎに入ったら予想してたほど混んでなかったのでよかった。とりあえず人が多すぎて絵が見えんということもなく、1時間くらいかけて巡った。
ハンマースホイは、松浦寿輝の小説『半島』の装丁に絵が使われているのに会って以来、気になっていた画家。ここからは見えない奥に何かありそうな気がするのに、そこから先へは行けない感じが、小説の世界と合っている。

そして12月。
何ができどこへ行けて、何ができずにどこへ行けないのか。
とりあえず早起きは心がけよう。
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by kuukazoo | 2008-12-02 00:18 | みたもの。

猫もの。

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午後、西日本を通過する台風5号の影響か風がやや強く、熱を帯びて湿っぽい感じ。被害が大きくなってないといいのだが…

仕事のあと稽古。途中少し時間があったので、銀座3丁目の「ゆう画廊」にて開催中の「猫展」に立ち寄りました。大学時代のお友だちが、ランドセルをしょった小さな猫の人形と豆盆栽を組み合わせた何とも愛らしいオブジェを出品しているのです(写真は携帯カメラで撮ったので写りがイマイチ)。去年は小さな猫のお雛様シリーズだったけど、今回の豆盆栽シリーズもなかなかいい感じでした。見ていて和みます。
「猫展」は今週土曜日(4日)までやってますので猫好きな方は是非。

ゆう画廊
銀座3-8-17
(松屋うら2本目通り沿い)
※最終日4日は17時まで
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by kuukazoo | 2007-08-02 18:57 | みたもの。

星影のワルツ。

わかれーるーこぉとぉはつらいぃけえどおーしかたーがないんんだきみのぉたーめー
おわかれにほしかげのわるつをうたおー♪

というわけで土曜日、東京都写真美術館にて映画『星影のワルツ』を観てきました。
写真家の若木信吾さんが、自分のお祖父さんをモチーフに、故郷の浜松で撮った映画です。
いやー、なんてったってもう80歳になろうという祖父役の喜味こいしがいいのさ。
かわいいしおちゃめだしかっこいいし。
映画自体はひたすら淡々としていて、演技っぽくなく、逆に普通の人がカメラ向けられてそれを意識したり照れたりするといった「素」を見せているようなシーンもあって、そういうシーンはそこに一緒にいる「撮り手」の存在を強く感じさせられ、不思議な感触だった。
でもやっぱ喜味こいしがいいのさ。
家族4人で海に来て車を降りた瞬間、もうわけもなく泣けてしまった。なんなんでしょう。
で、泣いているところを喜味こいしに笑わせられ、そしてまた泣かされる。
声を高くして言いたくはないような、感動とは名づけたくはないような、
こっそり胸にしまっておきたいような映画体験でした。

余談ですがたまたま観に行った回に出演していた(であろう)方が来ていて、
どうしたらいいのか分からず思わずガン見してしまいました。
なんて失礼な(スミマセン)。
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by kuukazoo | 2007-06-12 01:46 | みたもの。

猫よけのペットボトルの輪郭でたたずむ水に映るいちにち あるいは岩崎一恵のダンスって何?な今日この頃。写真:松本和幸
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