日日のきれはし。

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借りて観る。2

続きです。

「DISTANCE」監督・是枝裕和/2001
数年前、やはりビデオで「ワンダフル・ライフ」を観た。死んだひとたちが天国へ行く前に、人生でいちばんの想い出を一編の映画に撮ってもらう、この世とあの世の間での物語。

夏、4人の男女が山奥の湖にやってくる。彼らは数年前大量殺戮テロを起こしたカルト教団の実行犯たちの遺族。事件の後実行犯たちは教団に処刑され、その遺灰は湖に撒かれたのだ。教祖も自殺した。帰途、乗ってきた車が盗まれ、遺族たちはやむを得ず実行犯たちが生活していた山荘で一夜を明かすことになってしまう。しかも同様に帰れなくなってしまった元教団の若い男と一緒に。死んだ人たちとの思い出が否応なく彼らの中によみがえる。生者と死者という<DISTANCE>。そして、カルト宗教に走った家族を今も昔も理解できずにいるという<DISTANCE>。

確かに、人のことはわからない。わからないと諦めてしまうことも危ないがわかっていると思うことも危ない。わからないと思うからわかろうとするのだと思うし。

ほとんど自然光と生活の明かりのもとで撮影されているのだろうか。また、音楽もなく(たぶん)、街の音、車の音、草や木をかき分け踏み分けしていく音、水や雨や風の音、鳥や虫の音、人の話声・・・おにぎりを握る音まで使われていた。リアリズム、というのとはちょっと違う。そのせいか、とても安心して観ていられた。

実行犯たちが生きていた過去のシーンではたっぷりと深かった湖が、現在のシーンでは干上がりかけてしまっているのが何だか印象的でした。何の象徴なのだろう。

「CURE」もそうだけど、この映画もすぐに理解できない箇所は多く、だからこそずいぶん心に残って、思い出しながら後からいろいろ補完していく、そういうふうに楽しめる作品なんだと思う。

「野獣死すべし」監督・村川透/1980
原作大藪春彦で角川映画、主演は松田優作。世界から隔絶したような緩慢な動きがコワイ。あと、すっかり背景に埋もれているとこから突然画面に現れたように見えるところとか。夜行列車の中でまばたきもせず(目がすごいのだ)リップ・ヴァン・ウィンクル(西洋の浦島太郎ね)の話を妙に間延びしたイントネーションで話すシーンとか。後半いきなり別人のようにぶち切れてすっかり過去の戦場モードに没入してしまい延々一人芝居トランス状態になっちまうとこはなんだかなあという感じでしたが。しかし、この映画に若き日の鹿賀丈史が松田優作の共犯者という重要な役どころで出ていたとは知りませんでした。しかもアフロヘア。びっくり〜。それにしてもこの映画は理不尽な死に満ち満ちている。主人公といえどそれは免れない。

「アカルイミライ」監督・黒沢清/2002
オダギリジョー演じるどうにもあぶなっかしい青年。弁当の唐揚げが小さいと店員にマジ切れするほど抑制の効かないお子様な奴。兄貴のようなバイト先の先輩に公私ともにべったり頼ってたのに、ある日突然先輩は人を殺したあげく独房で自殺してしまう。青年は先輩の父親と出会い、その仕事(リサイクルショップ)を手伝うようになる・・・

親子関係、というか、親の世代と子の世代の断絶、なんでしょうか。わかりあえなさと嫌悪感。現代において父親と息子というのは結構ハードなのかもしれない。そういえばこの映画に女性の影はない(女性が出てこないという意味ではなく)。結局彼らがどうなったのかはわからないままだが、簡単に回答なんて手に入らないんだろう。簡単に入れようとして、失敗してきたのかもしれないし。
最初水槽の中でしか生きられなかった一匹のクラゲが、少しずつ外界に適応しつつ増殖し、河を大群で渡ってゆくというエピソードは、明るいようで明るくない。カタカナの「アカルイミライ」というタイトルがどこか空虚を感じさせるのと同じように。

「いつか読書する日」監督・緒方明/2004
タイトルに惹かれて借りました。舞台になっている石段だらけの町がすてきです。田中裕子演じる女主人公は、生まれ育ったこの町で、石段を毎朝駆け上がり牛乳を配達する。自転車をこぎ、スーパーでレジをうち、夜は家でひとり本を読む。ひたすらその繰り返しの日々。考えてみればすごいパワーだ。ずっとここにいる、ってずぶとい意志。
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by kuukazoo | 2006-05-26 00:52 | みたもの。

借りて観る。

なぜか邦画づいて、借りてきては何かと観ている今日この頃。

「笑の大学」脚本・三谷幸喜   監督・星護/2004
戦時中、庶民の娯楽である喜劇芝居の台本にも検閲が入っていた時代。堅物の検閲官(役所広司)と座付作家(稲垣吾郎)。西洋の登場人物はダメ、ラブシーンはダメ、どこかに「お国のために」という言葉を入れるように・・・などなど、検閲官に指摘された箇所を修正していくごとに台本はどんどん面白くなってしまい、検閲どころか笑いを創る作業をしているうちに検閲官と作家の間にも妙な連帯感というか友情めいたものが生まれてくるのだが・・・遊びの時間には必ず終わりが来て、現実に戻らなければならないのが世の常。時代が時代だけにその現実は重すぎて、また一緒に遊ぼうという約束も何だか空しく聞こえるのが、ちょっとせつない。

「CURE」監督・黒沢清/1997
いきなり殺人事件が起こるのだが、殺される人が人というより物体の扱いだったり、殺すという行為がありふれた生活の動きに続いてごく自然に行われてしまうので、その違和感が強烈だった。2階から人が落ちるシーンも、まるで黒ひげ危機一髪みたいな飛び出し方だし。音楽もわざとシーンにそぐわない感じの、感情移入を拒否するかのような曲だったり、主人公の刑事(役所広司)の妻(精神を病んでいる)が回し続ける脱水機の音が通底音のようにずーっと鳴っていたりする。音の使い方が憎らしいほど上手い。こぼれてゆっくりと床を這っていく水の動きは、直接意識に触れてくるようで、ぞくっとする。映像も音も、とにかく細部が計算されつくされていて、それらが積み重なったり混ざりあったりして観ている側にじわじわ作用を及ぼすような映画だった。後で調べたらこの映画はたくさん賞をとっているが、それだけのことはあると思った。
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by kuukazoo | 2006-05-25 03:04 | みたもの。

それにしても雨。

食べることは普段他人まかせ。
わたしがやっているのは、調理可能状態に加工されたものを店で買い、料理することだけ。
すべて最初から始めようと思えば、とてつもない努力を払わなければならないだろう。
土を耕し、種を蒔くところから。
殺すところから。

その他人まかせのホントに末端のことをやることにすら、ひどく労力を必要とした(ような気がする)1週間でした。そのわりには料理の本や切り抜きとか引っ張りだして、何を考えたか全粒粉で原始的なパンみたいなものを作ってみたりしていた。よく噛んで食べた。体もすこしずつ動かし始めたら、食欲もすこしずつ戻ってきた。

それにしても雨。
さわやかな5月はどこへ行った。
日々蒸。
曇り空の下、新緑の精気が充満して、ちょっとくるしい。
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by kuukazoo | 2006-05-20 00:55 | 日日。

低空飛行中。

今週はなんだか体調が低迷気味。稽古中に右足首を変に捻ってしまったため、大事をとってあまり動いてないせいもあるのだろうが、何もしてないのに変に疲れる。あと、食欲が落ちている。先週末、朝食に卵を食べたのだが、それ以来何だか気分が悪い。その卵が傷んでいたとかそういうことではなく、たまたま相性が悪く、うまく吸収しきれずに違和感が残っているという感じに近い。そういうわけで、食べることを考えるのが苦痛である。でも立場上食事は作らねばならず、食材も買わねばならず、食べないわけにもいかず…

はぁ〜。

とにかく今は肉系がダメ。スーパーの肉売り場に近づくのもイヤなくらいダメ。その次に卵がダメ。魚介類も肉ほどじゃないがやっぱダメ。お米やパンもぢつはあまり食べたくない。かろうじて受けつけられそうなのは麺類とか野菜とか豆腐とかヨーグルトとか(でもチーズはイヤ)そのへん。コーヒーも今はキツイ。でも酒は普通に飲む(笑)。

はい、体調不良によるただの一時的な偏食です。たぶん。
こういう時って、自分が今何を食べたいかとことん考えてしまうので、新しいメニューやレパートリーに挑戦するチャンスではあります。
明日(キラリ☆)。
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by kuukazoo | 2006-05-13 23:53 | 日日。

ビデオとか。

連休ということでついいろいろ借りて観ておりました。

「スウィングガールズ」監督・矢口史靖/2004
学校の部活でチューバを吹いている小6女子の希望で借りました。すでに一度TVで観ているはずなのにまた観るのね。でも、身近に楽器がある彼女にとって、映画の中で楽しそうにジャズをやっているおねーさんたちの姿は、共感と憧れを覚えるものなのかも。母のわたしは全くそういう素養がないので、ただただ、音楽はいいなあ、楽器ができるのっていいなあ、と思いながら観てました。単純。

「スーパーサイズ・ミー」監督・モーガン・スパーロック/2005
1日3食1ヶ月マクドナルドだけ食べ続けるという監督自身による人体実験ドキュメント&アメリカの食事情に関するリサーチ報告。すでに実験の最初のあたりで観ているわたしも「うぷっ」となりました。彼はスーパーサイズ(超特大サイズ)のセットに初挑戦するのだけど、20分かかっても食べきれない量。胃がもう受けつけず、吐いてしまう。いや、これ見ただけでもう当分マクドナルドは食べられません。自分の子どもにもできる限り食べさせたくない。人体実験よりもさらに驚愕するのがアメリカ人の食生活や肥満の実態ですね。特に学校給食に関してのところ。冷凍食品やレトルト、スナック、お菓子類、・・・って、それは食事かい!?野菜や果物をしっかりメニューに取り入れた給食会社もあると知った時は心底ほっとしました。それを考えると、日本の学校給食はすばらしい。日本に生まれてよかった。日本でも問題になっていることだけど、家庭や学校における食育の欠如がここまで深刻だとは思ってませんでした。ひー。

「茶の味」監督・石井克人/2003 
なんかマンガっぽい、というのが第一印象。学生服の男の子のおでこから電車が空へ走っていって、片思いだった彼女が窓から手を振っているとか、少女を見つめる巨大なもう1人の少女とか。のどかな山里に暮らすちょっと変わった一家のおはなしがたんたんと、思ったら、時々関係あるのかないのか分からないエピソードや「何これ〜!」と叫びたくなるわけわからないシーンがはさまれ、でも、そういうのが後でさりげなくつながっていたり、最後はちょっとゆるんだり。

「ゆきゆきて、神軍」監督・原一男/1987
興味はあったのだが観る機会を逸していた伝説のドキュメンタリー映画。この映画の中心は奥崎謙三というとんでもなく紙一重なおっさん。彼は自らの信念を貫くためなら刑務所入りも全く苦にならないような人。当然警察なんて恐れない。戦争責任を追及する彼の行動の全ては、ニューギニア戦線で死んでいった戦友達の霊を慰めるため。戦病死とされたが実は軍による処刑だった2人の兵士の死の真相をつきとめるため、彼は遺族を伴い元上官達を訪ね回る。この人言葉遣いや物腰は丁寧なのだが、絶対引き下がらない。相手や家族の都合は全くお構いなし。そして執拗。時に暴力までふるう。事が事だけに皆はっきりしたことは語りたがらないのだが、当時日本兵たちが行っていた人肉食の事実が少しずつ明らかになってくる…。
って、思いっきりネタばらししていますが、ネタばらししても全然問題なし。観ないとわかんないすごさがあると思います。
この人は、戦争という体験を経て、こうならざるを得なかったんだろうなあ。戦争で殺された人の前で生者は言い訳することも許されない。

「陽炎座」監督・鈴木清順/1981
その昔「ツィゴイネルワイゼン」を観て衝撃を受けたので、この映画も観てみました。観ているうちにどんどんストーリーがわけわからん状態。ただただ非現実的な映像に圧倒されている。でもそれがいいのだと思います。
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by kuukazoo | 2006-05-12 00:16 | みたもの。

動く目。

今朝、電車で座っていてふと目を上げたら、前に女の人が寝ながら立っていて、わたしの位置からだと半眼に見えるのと、螺旋を描くように微かにからだが揺れているのがすごく面白くて、失礼ながらずっと見ていたのだが、突然目が開いたと思ったら、またふっと閉じたり、閉じてるな〜と思ったら、また突然開いたり、目玉がふいに動いたり、とますます面白いことになってきて目が離せなくなってしまった。ずっと見ていて視線が合いそうになるとぱっと外し、でも目の端っこでまだしつこく見てたりしていた。動いているのは目玉とまぶただけなのに、どうしてこんなに楽しいのでしょう。見ているうちに降りる駅に着いてしまい、素敵に動く目玉ともお別れ。またいつか出会いたいものです。
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by kuukazoo | 2006-05-11 16:37 | 日日。

GW。

黄金週間も今日でおしまい。
去年は実家に帰って愛・地球博とか観に行ったけど、今年はほとんどどこにも行かず、普段できない家のこととかやったり(観葉植物の株分け&植え替え、カーテン洗い、押し入れの部分的整理など)、HPを更新したり、小6女子とチョコマフィンを作ったり、自転車買いに行ったり、ラーメン食べに行ったり、とまあ、ぢつにお金のかからない連休でした。ずっと家だったので、ちょっと飲み過ぎたような気もしますが。
しかしなぜか今かなり疲れてます。黄金週間中は運動不足だったせいかも。というか、専業主婦状態だったので疲れたのかも(笑)。ふだんがいかにいい加減かということでしょうか。
まあ、睡眠だけは贅沢にとりました。ってことで。
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by kuukazoo | 2006-05-07 23:39 | 日日。

な〜。

いやはや、5月はいきなりの夏日ですか。
先月このブログであんまり寒い寒いと書いたから、お日さまが「なにをー!」とばかりにはりきっちゃったのでしょうか。
それはともかく。
明日(というか今日)は寒いそうです。
なんだと!
頼むよお日さま。
今年もゴーヤをGW中に植えようと思っているのに、あんまり寒いとな〜。
観葉植物の植え替えもしたいから、ホームセンターに行って土買ってこないとな〜。
カーテンも洗いたいな〜。
セーターとかコートとか、クリーニングに出さないとな〜。
小6女子をどこかに連れてってやらないといかんな〜。
8月にソロ踊るから、そろそろ準備始めないとな〜。
う〜ん、全然のんびりできないな〜。
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by kuukazoo | 2006-05-02 00:40 | 日日。

猫よけのペットボトルの輪郭でたたずむ水に映るいちにち あるいは岩崎一恵のダンスって何?な今日この頃。写真:松本和幸
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