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日日のきれはし。

7度「胎内」のこと。

こまばアゴラ劇場へ7度「胎内」を観に行った。初めて観る劇団で、1か月ほど前に行った知人の公演で折り込みチラシをたまたま見て興味を持った。既存の戯曲や小説をリメイクする形で作品をつくるというやり方は面白そうだし、どのようなものなのか観てみたいと思った。「胎内」は三好十郎という人の1949年の作品で、穴に閉じ込められた3人の男女の話。今回はこれを女性の一人芝居にしたとのこと。
知人が出演する以外の観たことのない劇団の芝居をわざわざ予約して観に行くことは滅多にないが、予約した後の「ほんとに行くのかな...」「忘れそうだな...」的な気持ちの揺れも楽しかったりする。そしてアゴラ劇場の来年閉館が発表された。

アゴラ劇場は何回か行ったことがあるにもかかわらず、さらに駅から数分という近さにもかかわらず、スムーズに到着できた試しがない。今回も一度駅に引き返してしまった。「こっちじゃなかったような...」「この道だっけ?」曖昧な記憶が邪魔をする。わたし専用の結界でも張り巡らされているのか。

舞台は壁面が暗幕で覆われていて、ワンピースが数着掛けられたハンガーラック、座机、四角いスツール、キャリーバッグなど女性の一人暮らしを思わせるレイアウト。その中でだるそうに寝転がったり四つ這いで移動したりパックしたり化粧したり煙草をふかしたり服を脱いだり着たりなど現代の女性の生活の仕草や行為がなされるが、語られる言葉は戦後まもない頃、運悪く穴に閉じ込められた男や女のもの。乖離した体と動き、言葉、声。全くの的外れな感想かもしれないが、それらの不協和状態を演じるのは大変なんじゃないかなあと思った。戯曲の設定や台詞が現代にも通じるものがあるとしても、戯曲の世界をそのまま演じるのとは違うしそれらしく現代を風刺するのとも違う。役になりきればいいとかでもない。ずっと一人の俳優を観ていたわけだけど、何が表れているのかよくわからない。台詞や役という異物を取り込んだ体に起こる化学反応のようなものだろうか。そのプロセスは今はわからない。でもわからないことが悪いとは思わない。

なんとなくアフタートークまで残って他の人の話を聞いていたが、戯曲の内容についての話題が多かった。やはり時代の流れというか、今の感覚からすると倫理的にアウトだろ的な、ジェンダーバイアスてんこ盛りな台詞の印象の悪さは否めない。昭和の文芸作品読んでてもよくあることだが、突っ込み入れつつ冷静に耳をすますことも大事かなと思う。
個人的に印象に残ったのは、女が家族や仕事仲間など親しい人たちの全く知らないところで一人で死んでいくことを嘆くところ(うろ覚え)。誰かに見守られながら死ぬことはすごく幸せなことなのではないかと思った。




# by kuukazoo | 2023-12-13 01:21 | みたもの。

秋はどこ。

10月はまだ半袖でいけると思っていた。
しかし朝晩はすでに肌寒い。
雨が降ると一気に冷えが増す。
電車に乗るといろんな服装の人がいる。さすがに半袖は少なく、薄手の長袖、パーカー、 ジャケット、ジャンパーの占める割合が多い気がする。ダウンを着ている人を発見した時はさすがにそれは早いんじゃないかと思ったが、寒がりの人かもしれないからそこはわたしの決めることではない。今日半袖シャツの上に綿のカーディガンを着て出社したらオフィスはなぜか暑く、カーディガンを脱ぎたくなったが周りは皆長袖なのでさすがに浮きそうな気がして躊躇われた。
寒くなってくると、今ヒートテックを着たら負けとかダウンベストを着たら負けとか謎の勝負を挑む自分に気づく。冬へのカウントダウン開始。

と書いたのを忘れていて11月になった。
秋とは思えない高温が続いている。



# by kuukazoo | 2023-11-05 12:15 | 日日。

生きるとは。

体調が低空飛行であるのは慢性的な睡眠不足のせいだと自覚してはいる。朝早いぶん早く寝たいので帰りの遅い夫くんの分まで家事をやってしまうと余計疲れるしストレスが溜まる。そしてわたしよりも遅く起きるのにわたしより早く寝るという夫くんに若干のむかつきを覚えるものの、彼の方が心身ともにしんどい状況なのはわかっているので、仕方ないと思う。

今日職場の人たちのストレス解消法を聞く機会があった。
運動。
散歩。
睡眠。
美味しいものを食べる。
友だちとおしゃべりする
音楽を聴く。
マンガを読む。
YouTubeで旅の動画を観る。
酒を飲む。
岩盤浴。
パンを焼く。

それぞれで面白い。そしてどれも仕事とは違う感覚を働かすことである。モードの切り替えがだいじなんだなと改めて思った。わたしはそのへんが下手くそでやりたいことやらねばなことばかりでだいたい常に時間に追われてる気がするし一度気を抜くともう何もやる気がなくなってしまうので迂闊にリラックスできない。特に最近は「疲れたくない」という気持ちが先行してつい引きこもりがちになっている。加齢というか更年期のせいかもしれない。アパシーもしばしば感じるし、何かにつけてやる気がない。それでも仕事や家事をやらねばならない。混んだ電車に乗り列に並び重い荷物を持って歩かねばならない。生活するだけで体力の大半を使っている気がする。



# by kuukazoo | 2023-10-04 01:41 | 日日。

庭と森。

今の家は中古で買ったのだが先住者が庭道楽だったらしく裏に池があり周りに岩山を模した謎の構築物がありわたしには名前のわからない庭木たちが植えられていた。最初はおもろいと思っていたけど、草取りや剪定や池の掃除などメンテが大変で、これは定年退職後のおっさんでもないととてもやってられないなと思う。隣の家にも花咲く木実のなる木いろんな木があったが、ご高齢のためか繁茂のスピードに手入れが追いつかないようでうちの庭にキウイが落ちてたり金木犀の花が大量に散りこぼれたり名もしらぬ蔓性の植物が侵入したりしていた。こちらは不在がちだしそもそも田舎育ちな上にズボラだったりしたのでさほど気にはならなかったけれども。そしてコロナ前に隣は空家となり、数年たって取り壊され庭の木々たちも撤去された。やがて新しい家が建った。庭も土も木もない窓の小さい大きい家。

庭レベルでも緑が周りに与える影響は大きい。木がなくなると周辺の陽当たりや気温や風向き、生態系が大きく変化する。木がなくなってはじめてそのことに気づく。住宅街ではそれぞれの家の庭の木が森を作っていると植木屋さんに聞いたことがあった。なるほどそうかもしれない。そういう考えは好きだ。
でも森を育てるには労力をかけなければいけない。誰かに丸投げするならせめてお金を払わないといけない。それなら別になくてもいいと思う人がいるかもしれない。なくてはいけないとあったらいいは全然違う。

タワマンと大きい木とどっちがいいってそりゃあ後者と言う人が多いのかもしれないけど、どうやって維持するのか想像もできない人とか自分は指1本動かす気もない人とか残念ながら多そうな気がする。



# by kuukazoo | 2023-09-26 22:10 | 日日。

Wild,wild summer。

そして今年の夏は世界規模で異常に暑かった。体感的には7月から真夏の暑さで、関東は雨もほとんど降らなかったからさすがにキツかった。8月も殺人的な気温が続き、9月になれば少しはましになるかと思ったけど、なかなか気温は下がらず。彼岸前、突然強風とざんざん降りの雨が来ていきなり気温が下がり、毎日フル稼働していた扇風機もお休みして、このまま急激に寒くなったらそれも困るなと思ったがそんなことにはならないみたいだ。

この夏はゴーヤをよく買って食べた。ゴーヤチャンプルも作ったけど、炒め焼きして鰹節と醤油、味噌胡麻和えも簡単で美味しい。あとやはり夏はオクラとなすと胡瓜が欠かせない。この4つが冷蔵庫にあるととりあえず安心だった。

周辺は昔からの住宅地で、空き家を取り壊して今風のすっきりしたデザインのお家が次々建つのだが、お庭はおろか庭木のないところが多い。そして窓が少なくあっても小さい。
エアコン前提なのが当たり前なんだなと思う。庭木もお手入れが大変なのはよくわかる。伊藤比呂美さんの本でカリフォルニアに住んでた時庭のユーカリの木が育ちすぎてご近所トラブルになった話とか読むとつらい。

人に都合のよい自然は人が手を入れないと維持できないのにいいとこ取りだけしようとしてる人の声ばかり大きい。でぃべろっぱーは高層ビル建てることはできても森は作れない。



# by kuukazoo | 2023-09-24 22:08 | 日日。

猫よけのペットボトルの輪郭でたたずむ水に映るいちにち 写真:松本和幸
by kuukazoo
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