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日日のきれはし。

2月の体調のこと。

2月は寒かった。そして体調が悪かった。1月末から右の奥歯の根が痛み出したのは仕事が忙しかったせいや健康診断(初の胃内視鏡検査)を控えていたせいもあるが、寒さが歯にきた、というのが一番の原因だと思う。一度ロキソニン飲んだくらいでは治らなかったので歯医者で抗生物質を処方してもらった。それでかなりましにはなったけど完治とまではいかずロキソニンに頼らざるを得ない日々が続いた。疲労回復系のドリンクやゼリーなどもチャージし、何とか平常の体調に戻ったのは2月下旬。服薬中というのもあってそれまで毎日飲んでいたお酒をほぼ1か月止めていた。意外と止められるものだと自分でも驚いた。その代わりに炭酸水や濃いお茶のペットボトルを飲み干していてわたしは何を欲しているのだろうと思う。その影響で今はかなり飲酒量が減った。飲めないのはつまらないなぁとも思うが体があまり欲しないのだ。頭と体の謎な駆け引きがなされているスーパーのお酒売場の前。



# by kuukazoo | 2023-03-09 20:16 | 日日。

できてない読書感想文。

久々に読んだ本のことについて書く。

ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』新潮社

記憶ほど当てにならないものはなく、特に自分については都合のいいようにしか覚えてない。あるいは忘れたふりをする。高校時代の回想から始まる物語。大学に入ってつきあった恋人とはうまくいかずそれがもとで親友とも絶縁。そこからは全く違う人間関係の中で生きてきて、結婚し子どもも生まれ離婚はしたけど家族関係は良好で充実したリタイア生活を送っていたところへ、一通の手紙がやってくる...

いい加減歳をとってふと若い頃を振り返り当時の自分のバカさ加減やそれゆえ多くの人を傷つけたであろうことや結局何もなし得なかったことに自己嫌悪まみれになりがちなので、主人公トニーには共感および同情するところもある。特に超難度理解を要する恋人ベロニカとのディスコミュニケーション。いつもわかってくれないのは相手の方で、自分はわかろうとしてる、悪いのは相手、という定番の図式。

誰もが都合の悪いことは忘れ他の誰かの不幸の責任の一端であることも知らず生きてきた。川が逆流するように突然過去がやってきて、思いもよらぬ事実を突きつける。歴史とは「不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」あるいは「生き残ったものの記憶の塊」。人生もまた。

自分が去った後の人々のことはわかりようがなく、ただ思うことしかできない。その人々の中で、自分は、いい人/ひどい奴のどちらの箱に入っているのか、それとも忘れられたか、それも知りようもない。

ここまで書いて、これって滝口悠生の作品とも共通するのかも?と何の根拠もなく思い至った。『茄子の輝き』を読み返してみたくなった。



# by kuukazoo | 2022-08-28 11:55 | ときどきの本。

なんとも。

2022年水無月。
久々に金曜日アフターファイブの渋谷に出たらそれはもうすごい人混みで、3年前と違うのはみんなマスクしてるってだけなのではなかろうか。イベントも3年ぶりに開催するところが多いようだし、それは大変喜ばしいと思う。しかし通勤ラッシュが戻りつつあるのは全然嬉しくない。在宅勤務から出社に戻す会社が多いってことなのか。通勤ストレスの軽減が従業員の健康に寄与するという考えはないのか。コロナ禍にIT系に転職したうちの女子はフルリモートで働いておりそれはそれでしんどいと言うけど。

とここまで書いてまるまる2ヶ月が過ぎた。
今や新規感染者数は過去最大となり、収束が見えない。おわりなきWithコロナの時代か。
ここまできて感染したくないなとは思うが、さすがに明日は我が身感がひしひしと強まる。
しかし猛暑のなかでマスクはさすがに辛い。さすが忍耐強い日本人。TVで見る限りではアメリカ人マスクしてない人いっぱいでびっくりする。

2022年文月も終わりに近づいた。
思うことはたくさんあるけどなかなか言葉にできない。




# by kuukazoo | 2022-07-31 00:52 | 日日。

夏から夏。

あっという間に8月半ば。7月は週2出社ペースだったが、今月から週5出社に戻したところ、やはり疲れる。朝は早めの時間の電車に乗って密を避けているが、帰りはそれなりに混んでいて、ちょっとたじろぐ。みんなマスクだ。いろんなマスクがあるものだ。あと持ち歩き扇風機。こうマスクしている時間が長いと顔に熱がこもるし呼吸が抑え目になってくるので、そろそろ買うべきか思案中。去年まではマスクも持ち歩き扇風機も自分には関係ないものと思っていた。

と書いた数日後に持ち歩き扇風機を買った。saleで安くなっていたのを見つけた。つけてみるとちょっと音が大きいような気もしたがそんなものかもしれない。

出社生活はやはり忙しく、気持ちに余裕が失せる。が、ただ時間の使い方が下手なだけかもと思ったりする。

と、書いたのが去年の8月であった。

1年間なんとか生き延びてきたのだなと思う。
どこへ行くにも文字通り息を潜め。
発信しないことに慣れきると発信の仕方そのものを忘却する。発信にはそれなりの負荷がかかるので、しなければしないで楽ではあったというのは正直なところであった。だがすっかり自分というものが薄まり危機感を覚えている。
もしかしたら最初から何も持っていなかったのかもしれない。壁に跳ね返ったボールを打ち返して何かやってた気分になってただけかもしれない。ずっと先送りしてきたのだと薄々気づいているのではないか。

たったこれだけ書くのに1時間くらいかかっている。
やらないとやり方を忘れるというのは何にでも言えることではある。





# by kuukazoo | 2021-09-23 21:15

2020年5月に読んだ本。

ヘミングウェイ短編集 (1) (新潮文庫)ヘミングウェイ短編集 (1) (新潮文庫)
夫くんの蔵書より引っ張り出してきた。シンプルで乾いた文体。読者を突き放しているような書きぶり。男女間の会話に断絶を感じる。そして男がろくでもなくひどい(笑)。ザ・アメリカ文学。ハードボイルド小説の原型というのは確かに感じた。昔に読んだけどあまり覚えていない『誰がために鐘は鳴る』もそうだったけど、出てくる料理(ハムエッグとかパンとか)が美味しそうなのだ。こういう小説を書く人だったのか、と興味を持ったので他のも読んでみよう。
読了日:05月31日 著者:ヘミングウェイ

どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜
どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜
故郷を出て東京で何者にもなれずに帰ってきた著者と、再開発やコンパクトシティ化でどこにでもあるどこかとなりつつある地元。しかし濃ゆいジモティの人々との出会いによってディープな場所へ導かれまた新たな出会いがあり、その関係性の中に居場所を見つけて、根をはり芽を出し花を咲かせた、のだろうか。でもきっと東京では恥かいてまで自分を出せなかったと思うので、郷土愛という形で表現できたことは不思議な気もする。場は与えられるものではなく隙間を見つけて自ら作るものなのだ。しかし総曲輪って頻出なのに未だに読めない(笑)。
読了日:05月28日 著者:藤井 聡子

人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)
人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)
国際政治的観点から感染症対策や健康な生活の保障について書かれた本。人が国を越えて行き来する状況下で感染症拡大を防ぐには利害を超えた国同士の協力が不可欠だがなかなか難しい。生活習慣病予防のために糖分控えめにとか禁煙しようという運動も業界の反発を受けたり、途上国では未だに充分な医療が受けられず薬も簡単に手に入らないなど、感染症以外の問題も山積み。世界規模の感染症にはワクチンや治療薬開発が集中するけどローカルな感染症は注目されず、貧困の原因にもなっている。
読了日:05月23日 著者:詫摩 佳代

感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書)
感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書)
こんな時でなかったら多分読まない本だけど、この先何があるかわからないし、読んでおいて損はなかろう。公衆衛生や感染症予防の分野に長年携わってきた著者が、様々な感染症について分かりやすく解説してくれている。人は生活環境の清潔化によって多くの感染症を抑えてきたが、そんな世界で広がるのが性感染症と新型インフルエンザ、というのにインパクトを受けた。伝播の仕組みを知ってそれを回避する行動を意識的に取れば予防できる、というのが基本方針。
読了日:05月14日 著者:井上栄

酒の穴―酒をみつめる対話集
酒の穴―酒をみつめる対話集
「若手飲酒シーン」デュオすなわち「酒の穴」という飲酒ユニット(何それ)の対談集、というか普通に他愛ない飲み会の会話。酔っていればスベるのも怖くないし誰も止める人はいないし何だって笑える。どこでもページを開けば飲み会に参加してるような錯覚を覚える。彼らはもはや店でなくてもよくね?という域に達しているらしく公園のベンチや河川敷がトレンドとなりつつあるらしいのか。まだ若いのにお気の毒である(嘘)。
読了日:05月11日 著者:スズキ ナオ、パリッコ

酒場っ子
酒場っ子
「若手飲酒シーン」って何それ(笑)という謎のワードにつられて読んでみた。主に東京都内の知る人ぞ知る大衆酒場で美味しく安く飲みコミュニケートする楽しみを綴ったエッセイ。「見える人にしか見えないお店」を見つけられる域に到達するほど飲み歩けるのはある意味羨ましい気もするが、良い子なので真似しません。外飲みができない今、これを読みながら家で飲む。もつ度高め。
読了日:05月11日 著者:パリッコ

動物たち
動物たち
引っ越しの話や猯(まみ)になつかれる話や狢(むじな)の恩返しの話など、面白かった。去年たまたま昔住んでいた町を歩いたが、残っているもの消えたものなかったはずのものがごっちゃになってて不思議な気持ちになった。またある年の冬に家の床下に狸が入り込んだことがあって、どうやって追い出すか結構悩んだが、最終的には暖かくなって出ていったのを機に隙間を塞いだところそれ以来姿を見なくなり、安心と共に呆気なさと一抹の寂しさを覚えたことを思い出す。彼らは今頃どうしているのだろう。
読了日:05月05日 著者:panpanya

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)
アメリカの鱒釣り (新潮文庫)
三島由紀夫の『春の雪』と並読していたせいで頭がくらくらする。同じ日本語とは思えないことに感動である。ついでに二人とも40代で自殺していたことにも驚く。翻訳した藤本和子を偉業と柴田元幸がどこかで称えていたが、初期の村上春樹や高橋源一郎の文体はこれに影響を受けたんだろうか。『さようなら、ギャングたち』って、こんな感じだったなと思い出しながら読んだ。ノイジイでナンセンスでジャンキー。わけわからないということをただ楽しむ。太刀打ちできるかはわからないけど原書も読んでみたいと思った。
読了日:05月05日 著者:リチャード ブローティガン

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)
豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)
文体もストーリーも人物設定も描写もハードル高く「うおぉぉすげえぇ....」と圧倒される。というか、近代西洋文学の翻訳を読んでるみたいだった(時代設定のせいもある)。ナルシストで世間知らずで中身のないお子さまな主人公、を愛したばかりに人生狂ったヒロイン、尻拭いと自己保身に奔走する周りの大人たちのえぐい事情、と実に典型的なのだけど、その中で展開される歴史や宗教や哲学についての考察が興味深い。ボーイズの幸せな夏休み@鎌倉は、イイネ!って感じだった。青春は一度きり。
読了日:05月04日 著者:三島 由紀夫

読書メーター




# by kuukazoo | 2020-06-24 13:29 | ときどきの本。

猫よけのペットボトルの輪郭でたたずむ水に映るいちにち あるいは岩崎一恵のダンスって何?な今日この頃。写真:松本和幸
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直ダンス!『春の燈』
2008年4月12・13日東中野RAFTにて
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